越前漆器  – えちぜんしっき –

越前漆器とは、古墳時代の末期から福井県鯖江市河和田地区とその周辺地域でつくられてきた漆器の工芸品のことをいいます。 福井県鯖江市では古くから多くの漆掻きの職人がおり、また良質な材木が採れたこともあって、漆器づくりの技術が育まれてきました。 漆を塗り重ねることで上品かつ艶やかな塗り肌がありつつも、軽さと丈夫さも兼ね備えている、福井が誇る技術です。

越前焼  – えちぜんやき –

越前焼(えちぜんやき)は、福井県丹生郡(にゅうぐん)越前町で作られている古き歴史のある陶磁器です。日本六古窯(にほんろっこよう)の一つに数えられています。 日本六古窯とは、平安時代から鎌倉時代に始まり、現在まで生産が続けられている6つの窯のことです。 越前焼の特徴は、釉薬(ゆうやく、うわぐすり=陶磁器の表面を覆うガラス質の膜のこと)を使わずに焼かれていることです。絵付けもされないことが多く、素朴な風合いが楽しめます。

越前打刃物  – えちぜんうちはもの –

越前打刃物は、主に福井県越前市で作られている刃物のことです。昭和54年に刃物産地としては全国で初めて伝統工芸品の指定を受けました。越前打刃物の始まりは700年も前にさかのぼります。1337年(南北朝時代)、京都の刀匠・千代鶴国安が、刀剣制作に適した地を求めてこの地にやってきました。 現在でも、日本古来の火づくり鍛造技術、手研ぎを守り、職人たちが一本一本丹精込めて作っています。

越前箪笥  – えちぜんたんす –

越前箪笥は、福井県越前市や鯖江市周辺で作られる、ケヤキやキリなどの材木を鉄製金具や漆塗りで装飾している箪笥です。耐久性に優れ、硬くて木目が美しいケヤキと、湿気を通さず、割れや狂いが少ないために高級箪笥の材料として重宝されてきたキリを主に使用しています。ケヤキやキリを自然乾燥させ、釘などを使わず木材を組み合わせて、強度を高める指物技法(さしものぎほう)で枠組み箪笥を作ります。箪笥には天然の漆を使っており、使い込むほどに味わい深い風合いとどっしりとした重厚感があることが特徴です。

越前和紙  – えちぜんわし –

越前和紙とは福井県越前市でつくられてきた和紙。岐阜県の「美濃和紙」、高知県の「土佐和紙」とならび、「日本三大和紙」に数えられる和紙です。その特徴は、生成色の美しさと、強靭さにあります。 越前和紙は種類の豊富さもその特徴の一つで、奉書紙の他には、襖紙や壁紙、局紙(紙幣や小切手など)、木版画用紙、色紙、短冊、封筒、便せん、はがき、名刺など古くから多種多様な用途のものが作られてきました。さらに今日では、音響メーカーのスピーカー部品に使用されたり、越前和紙を生かした和紙繊維に抗菌消臭の効果が認められてその繊維が宇宙滞在用被服に採用されたりと、幅広い分野のものづくりを支える高機能素材となっています。

若狭めのう  – わかさめのう –

福井県小浜市に伝わる伝統工芸品です。200〜300℃で焼くことで生まれる、鮮やかな赤色が美しい細工。めのうの原石を鶏や鯉といった動物の形に細工するのが特徴で、置物やアクセサリー、茶碗などとして使われます。また、若狭めのう細工は、日本の貴石細工のルーツとも言われています。 現在の福井県若狭の里、遠敷(おにゅう)は、若狭一の神社を頂く土地で、奈良時代に玉を信仰する鰐族(わにぞく)という海民族が、この地に来たとき、神社の前に鰐街道を作り、そこで玉を作ることを仕事としたのが、始まりと言われています。

若狭塗箸  – わかさぬりばし –

若狭塗箸とは、若狭塗の技法で作られる塗箸のこと。若狭塗とは福井県小浜市若狭で生産される漆器のことです。 現在は塗り箸も盛んで、日本全国の8割以上がここから生まれています。若狭塗箸には、漆を塗り重ねる塗り込みや艶を出すための磨きなど、10以上の工程があり、アワビの貝殻や卵の殻、松葉を使って若狭塗独特の模様がつけられます。私たちの生活になくてはならない箸には、若狭の職人のきめ細やかな技術が息づいています。